目的別セミナー③節税のための不動産投資
これまで家賃収入や売却益による儲けなど、直接的な利益を生むお話をしてきました。
そのほかに、減税を目的とした不動産投資というものがあります。
今回は節税のために不動産投資をおこなう場合の方法や注意点について解説いたします。
※記事作成時点の税率・制度により解説しています。
不動産投資で節税するには
節税を目的とした不動産投資をおこなう場合、もっとも取り組みやすいのが所得税に関する節税だと思われます。ほかにも相続税などのセミナーもありますので、ご自身に合った内容のセミナーを受けましょう。
単に『不動産投資で節税』と宣伝しているものを選ぶのではなく、セミナーの内容詳細や講師のキャリアなどをしっかりチェックしておくことが大切です。
①減価償却による節税対策
節税のために不動産投資をする場合、必ずといって良いほど活用するのが減価償却です。節税を考えている場合は必ず減価償却について理解を深めておきましょう。
②「減価償却」とは?
家を購入する際、基本的に土地と建物を合わせて買うのが基本です。借地権付き建物(土地は別の所有者がいる状態)もありますが、今回は土地建物が一緒に売られている一般的な不動産を想定します。
ちなみに、所有権のマンションを購入した場合でも土地はついてきます。
不動産は固定資産であり、長期で所有するものと見なされます。
減価償却は、経年劣化する固定資産に対して、取得時にかかるお金を一定期間分割して経費にできるというものです。
一定の条件を満たすと、減価償却のしくみを利用して所得税を軽減することができます。
注意しなければいけないのが、「土地」は減価償却の対象にならない点です(土地は経年劣化しないため)。たとえば5,000万円で家を購入した場合、そのうち建物の価格のみに減価償却を用いることができます。
減価償却の年数は、建物の構造に合わせて決まります。住居用建物の場合、鉄筋コンクリート造だと47年、木造だと22年です。ただし、中古で購入した場合は以下の計算式を用います。
- 法定耐用年数の全部を経過した資産⇒法定耐用年数の20%相当年数
- 法定耐用年数の一部を経過した資産⇒法定耐用年数-経過年数+経過年数の20%
たとえば、築25年の鉄筋コンクリート造の区分所有マンションを購入した場合、減価償却期間は27年となります。
仮に建物価格を1,000万円として計算式に当てはめると、年間約37万円を経費として計上できます。
「不動産所得=家賃収入―経費」のため、不動産所得を軽減させて課税額を減らす効果があります。
③どんな人が向いているか
減価償却によって所得税を軽減する場合、所得が多いほど効果が高くなります。
そのため、一定以上の所得がある方におすすめです。
減価償却だけでは節税にはならない?
減価償却による経費は、毎年経費として利益を減らせるため、確定申告すれば目に見えて減税効果があるように思えます。
しかし、減価償却での減税はあくまで繰り延べです。その年に課税をしなくてよいだけで、将来不動産を売却する際に、利益として計上されてしまいます。
減価償却によって目先にかかる所得税を減らせただけで喜ぶのは早い、ということです。
④減価償却での節税効果は条件付き
減価償却で節税効果を得るには、『所得税として課税される税率』と『売却時にかかる税率』に差があることが条件になります。
例えば、サラリーマンとしての給与課税所得は以下の通りです。
①900万円を超え1,800万円以下… 33%から一定の控除額
②1,800万円を超え4,000万円以下…40%から一定の控除額
③4,000万円以上…45%から一定の控除額
各年度ごとに課税され、その年の控除額が差し引かれます。
一方で、売却時にかかる税率は以下の通りです。
①短期譲渡所得(所有期間が5年以下)
39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
②長期譲渡所得(所有期間が5年超)
20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
所有期間によって異なる税率で、繰り延べられた償却金額に対して課税されます。
この二つの税率に差があるほど節税に繋がるため、理想的な組み合わせとしては『所得税20%以上の所得がある × 長期所有している物件の売却』ということになります。
物件や所得の条件によって適用が異なる可能性もあるので、気になる方は信頼できる税理士に相談してみることをお勧めします。
まとめ
不動産投資による節税は条件が多く、法改正などによって節税効果を得られなくなってしまうことも考えられます。
所得がかなり多くなければ節税の恩恵を受けにくいため、不動産投資は節税できる可能性があると頭の片隅に入れた上で、収益性が高いor価値が上がりそうな物件を紹介してくれる不動産投資セミナーを選びましょう。
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